シミュレーションで人員配置とシフトを計画する方法
シミュレーションで人員配置とシフトを計画するには、作業者を工場モデルの中にリソースとして組み込み、その作業、歩行ルート、休憩、シフト時間を設定したうえで、実際の受注構成を工場に流します。モデルは、人が部品を待っている場所、部品が人を待っている場所、そしてどの時間帯にどの工程で人手が足りないかを示します。そのうえで、別の人員数、作業分担の変更、シフトの追加を試し、勤務表を変える前に生産量と作業時間を比較できます。
人員配置表だけでは不十分な理由
多くの工場では、表を使って人員を計画しています。行に工程、列にシフト、各セルに作業者の人数です。この表はカバー状況を示しますが、流れは示しません。
例示的なラインに、6つの工程と7人の作業者がいるとします。書類上は全工程がカバーされ、1人が応援要員として動きます。現場では、この応援要員は最初の1時間を段取り替えが最も長い工程の手伝いに費やし、その後、10分間待たされている設備に材料を投入するため、建屋の反対側まで歩きます。その間に、さっきまでいた工程では部品がたまっていきます。表の上ではラインに人は足りているのに、実際には午前7時には人手不足、午前11時には人員過剰です。
人は設備、バッファ、そしてほかの人と相互に関わり合っています。1人の作業者が間違った場所にいると、その影響は別の場所に現れます。次工程での行列、材料投入を待つ設備、運ぶものが何もないフォークリフトです。これは流れの問題であり、時間を進めて動かすモデルが必要です。
作業者の時間は実際にどこへ消えているか
作業者のシフトは、作業、歩行、待機に分かれます。時間研究で捉えられるのは作業です。歩行と待機はライン全体の動きに左右されるため、流れ全体を一緒に動かしたときにしか見えてきません。
シミュレーションは、すべての作業者とすべての案について、作業時間、待機時間、歩行距離、各工程で過ごしたシフト時間の割合を報告します。最も役に立つ数字は待機です。待機の多い作業者は、その前後の工程が本当の制約になっているか、作業分担が間違っていることを示すサインであり、その工程に人を1人増やしても解決しません。本当の制約を見つける方法の詳細は、生産のボトルネックを発生前に見つける方法をご覧ください。
モデルに入れるべきもの
- リソースとしての人:シフトごとの人数、各人が担当できる工程、歩行ルート
- 作業:手作業、設備への材料投入、構内搬送、品質チェック(時間は範囲で入力)
- シフトのルール:開始・終了時刻、休憩、引き継ぎ、残業の上限
- 需要:典型的な1日または1週間の受注構成と、そのピーク
- 設備:作業者が頼っている設備、フォークリフト、自律搬送車(AMR)、あるいは作業を肩代わりできるもの
確率的シミュレーションでは、作業時間はサイクルごとにばらつきます。これは人員配置にとって重要です。平均では釣り合っているラインも、肝心な時間帯には人手が足りないことが多いからです。
実例:ボトルネックでは作業より待機のほうが長かった
ポーランド中部の樹脂射出成形メーカーは、家電業界向けに部品を供給しています。従業員は200人以上、3シフト制で、敷地は20,000m²、そのうち8,000m²が倉庫です。同社は、あるラインのいくつかの工程を自動化・ロボット化すべきかどうかを知りたいと考えていました。技術的に実現可能か、OEEと生産性はどうなるか、どのような自動化の選択肢があり、それぞれいくらかかるか、です。
DBR77は、材料の流れと各作業のサイクルタイムを含め、工場の一部のデジタルツインを構築しました。モデルによって、手順面、経済面、人間工学面で自動化の価値が最も高い作業が特定されました。その後の反復では、工程間の自動搬送をシミュレーションしました。チームは案ごとに、効率、生産性、作業時間のレポートを受け取りました。分析で分かったことは次のとおりです。
- ボトルネックは、1人目の作業者が行う手作業の工程でした。
- その工程で、作業者は作業90秒に対して待機98秒でした。
- その作業者を自律搬送車に置き換えることで効率が100%以上向上し、投資が経済的に成り立つ条件が整いました。
- 次のステップとして、人間工学的に負担の大きい作業を含む構内物流の自動化と、品質検査の自動化が提案されました。
- 案の分析にかかったのは、わずか数日でした。
人員配置の観点で示唆に富むのは、ボトルネックの作業者が、作業している時間より待っている時間のほうが長かったという数字です。人員配置表なら、1人がフルに割り当てられていると示すだけで、その98秒の痕跡はどこにも残らなかったでしょう。
検証する価値のある人員配置・シフトのシナリオ
各シナリオは、同じモデルのコピーに1つだけ変更を加えたものです。すべてのシナリオを同じ指標で比較します。
| シナリオ | 答える問い | 比較する項目 |
|---|---|---|
| ラインの作業者を1人減らす | 少ない人員で生産量を維持できるか? | シフトあたりの生産量、各工程での待機 |
| 2つの工程で作業者を共有する | 共有の役割は固定の役割より速いか、遅いか? | 歩行距離、待機時間、生産量 |
| 休憩をずらす | 休憩が重ならなければ、ラインの停止は減るか? | 1時間あたりの生産量、バッファ水準 |
| 残業の代わりに第3シフト | 需要のピークを少ない作業時間でカバーできるのはどちらか? | 1週間あたりの生産量、総労働時間 |
| 搬送作業を自律搬送車に移す | 作業者を解放すると生産量は上がるか? | 作業者の作業時間、生産量、搬送車の稼働率 |
| 現在の勤務表でピーク週を迎える | 計画が最初に破綻するのはどこか? | 行列、納期遅れ、残業 |
シフトに関する判断は、需要の変化とともに求められることがよくあります。新しい契約や季節的なピークがあると、第3シフト、週末シフト、シフトあたりの増員といった問いが生じます。同じモデルでその問いに答えられます。複数の需要シナリオを各能力案に当てて検証する方法は、次の需要変動の前に生産能力を検証する方法で解説しています。
結果をチームと共有する
人員配置の変更は人に影響するため、どう伝えるかが重要です。モデルが役立つのは、議論が意見からラインの実際の動きへと移るからです。モデルは、人を減らせる場所と合わせて、人が必要な場所も示します。自動化の事例では、分析によって人間工学的に負担の大きい作業も自動化の候補として挙げられました。これは現場の人たちが納得できる論点です。
判断の前に、モデルをシフトリーダーと共有してください。実際の休憩、引き継ぎ、小さな停止がどこで起きているかを知っているのは彼らです。アニメーションの中に自分たちのラインを見いだせれば、彼らは数字を信頼します。見いだせなければ、何が違うのかを尋ねてください。その差は、入力データが拾えていなかった休憩、引き継ぎ、小さな停止を指していることが多く、ときにはラインの本当の制約を指しています。
よくある質問
これはシフトスケジューリングソフトと同じものですか?
いいえ。スケジューリングソフトは、特定の人をシフトに割り当てます。シミュレーションは、その手前の問いに答えます。必要な生産量を出すには、どのスキルを持つ人が何人、どの工程に必要か、です。
始めるのに詳細な時間研究は必要ですか?
すべての作業に必要なわけではありません。まず工程表の時間から始めてください。最初の結果をラインの実際の生産量と比べ、両者の差が最も大きい作業、たとえばボトルネックと疑われる工程の手作業などを測定します。単一の平均値より、範囲のほうが適しています。
スキルの異なる作業者を扱えますか?
はい。各作業者が担当できる工程を、訓練を受けた工程に限定できます。そのうえで、もう1人を2つ目の工程向けに訓練するほうが、採用よりも効果があるかどうかを検証できます。
人員配置シナリオはどのくらいの頻度で再実行すべきですか?
製品構成、需要、ライン構成が目に見えて変わったときです。モデルがすでにあれば、人員配置シナリオの再実行は、最初に構築するよりはるかに速く済みます。
まとめ
シフトリーダーがいつも人が足りないと言っているラインを選び、そこの手作業の工程を一つ、待機と作業を分けて計測してください。射出成形の事例のボトルネックのように、待機が作業時間に近いなら、勤務表に誰かを加える前にそのラインをモデル化してください。
次の人員配置やシフトの変更を、まず検証しましょう
作業者を1人減らす、第3シフトを設ける、搬送作業を搬送車に任せる、といった検討をされていますか?デモを予約して、作業者、作業、シフトのルールを含むモデルでそうした変更を検証する様子をご覧ください。
出典
- DBR77、ケーススタディ:自動化コンセプトの策定(本サイトの事例ページ)
- DBR77 Digital Twin、決定論的シミュレーションと確率的シミュレーションの比較
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