生産のボトルネックを発生前に見つける方法
生産のボトルネックを発生前に見つけるには、計画中のラインを、実際のサイクルタイムの幅、停止、搬送、受注構成を入れたシミュレーションモデルで動かし、手前に仕掛品の待ち行列ができ、後ろの工程が待たされている場所を探します。その場所が生産量を制限しています。次に何かを変えてモデルを動かし直し、ボトルネックがどこへ移るかを確認します。稼働開始前の数日間のモデリングは、稼働後に生産ロスと残業を通じて制約を見つけるよりも、はるかに安く済みます。
ボトルネックが稼働開始後にしか現れない理由
多くのラインは平均サイクルタイムで計画されます。すべての工程が平均でタクトより速ければ、ラインはバランスがとれているように見えます。ところが生産が始まると、ある工程の前に待ち行列ができ、別の工程は部品を待つことになります。
これには3つの理由があります。
- ばらつき。平均50秒の工程が、この説明のための例ではときどき75秒かかるとします。遅いサイクルが1回なら害はありません。遅いサイクルが何回か続くと、手前のバッファが埋まり、後ろの工程は部品不足になります。
- 相互作用。工程同士は、フォークリフト、作業者、バッファ、段取り替えの担当チームを共有しています。平均すれば空いているリソースが、まさに必要なときに塞がっていることがあります。
- 搬送と待ち。資材は工程と倉庫の間を移動しなければならず、引き取りを待つ時間はどのサイクルタイム表にも載りません。
ボトルネックは設備とは限りません。2つの工程を受け持つ作業者、3つのラインで共用するフォークリフト、小さすぎるバッファ、倉庫内のピッキングルートのこともあります。設備を並べただけのスプレッドシートでは、これらを指し示すことは決してできません。
シミュレーションの出力に現れるボトルネックの姿
シミュレーションモデルは、ラインを1シフト、1日、または1週間にわたって動かします。サイクルタイムは幅を持たせ、停止は過去の実績から取り込み、どこで時間が失われているかを示します。読み取るべきサインは次のとおりです。
| モデルに現れるサイン | 通常の意味 |
|---|---|
| ある工程の前に長い待ち行列がある | その工程、またはそこへ供給する搬送がフローを制限している |
| 後ろの工程がしばしば部品不足(部品待ち)になる | 制約は上流にある |
| 手前の工程がしばしばブロック(部品を送り出せない)される | 制約は下流にあるか、バッファが小さすぎる |
| フォークリフト、搬送車、作業者の稼働率が高い | 設備ではなく共用リソースがボトルネックになっている |
| 工程間の待ち時間が長い | 資材が引き取りや搬送を待っている |
| 一部の試行でだけ生産量が大きく落ちる | ラインがばらつきに敏感で、制約が移動している |
一つのサインだけでは判断を誤ることがあります。稼働率が高くても、その前に待ち行列のない工程は、忙しいだけでラインを制限してはいません。組み合わせを探してください。手前に待ち行列があり、後ろの工程が部品不足になり、その工程が遅くなるとライン全体の生産量が下がる、という組み合わせです。
段階的な方法
- まず現状のラインをモデル化します。自社のレイアウト、工程手順、サイクルタイム、搬送速度、シフト、標準的な受注構成を使います。
- モデルを現実と照らし合わせます。モデルの生産量と待ち行列ができる場所を、シフトリーダーが現場で見ている状況と比べます。食い違っていれば、先に進む前にその理由を突き止めます。公称値と実際の現場との差は、本当のボトルネックを指し示していることが多く、その差を埋めれば信頼できる入力が手に入ります。
- ばらつきを加えます。単一の平均値を、過去の実績に基づく幅に置き換えます。確率的モデルなら、平均的な日と並べて条件の悪い日も見えます。
- 計画中の変更を動かします。新しいレイアウト、新製品、生産量の増加、ロボット、シフトの追加などです。
- サインを読み取ります。手前に待ち行列があり、後ろが待たされている場所を見つけます。
- 対策を試し、もう一度動かします。バッファを追加する、作業者を移す、搬送車を追加する、投入ルールを変える。そのうえで制約がどこへ移ったかを確認します。制約はたいていどこかへ移るからです。
価値の大半はステップ6にあります。一つのボトルネックを取り除くと次のボトルネックが生まれることが多く、モデルなら何かを買う前にそれが分かります。
ラインのどこで待ちが発生するかを見る
最も自信の持てないラインの変更を思い浮かべてください。デモでは、DBR77 Digital Twinがフローを引き止めている工程、作業者、フォークリフトを特定し、対策の後に制約がどこへ移るかを示す様子をお見せします。
事例:ライン全体を引き止めていた一つの手作業工程
ポーランド中部のプラスチック射出成形メーカーは、家電業界向けに3シフトで稼働しており、1本のラインで複数の工程を自動化したいと考えていました。DBR77は工場のその部分のデジタルツインを構築し、各作業のマテリアルフローとサイクルタイムを組み込んで、案ごとに効率、生産性、作業時間のレポートを作成しました。
分析によって、ボトルネックが最初の作業者による手作業の工程にあることが分かりました。作業が90秒、待ちが98秒です。この作業者の時間の半分以上が待ちでした。この作業者を自律搬送車に置き換えたところ効率は100%以上向上し、投資が経済的に成り立つ条件が整いました。案の分析にかかったのはわずか数日でした。
サイクルタイム調査は作業時間を測るため、この工程を問題なしと評価したはずです。ロスは待ちの中にありました。
事例:ボトルネックが引き取り待ちだった場合
ポーランド南部の自動車用ランプメーカー(従業員270人、2シフト)は、新しいラインのレイアウトを必要としていました。DBR77は、搬送速度や運搬車の加速と制動まで含めてマテリアルフローをモデル化し、3つのレイアウト案を比較しました。
結果を見ると、効率を落としたレイアウトでは、半製品が工程間で引き取りを待っていました。最も優れたレイアウトは、生産と組立の間の中央エリアにバッファ倉庫を置く案でした。その平均マテリアルフロー時間は最短ではありませんでしたが、1日あたりの生産性は、中間倉庫のない直線型レイアウトより平均で6%高くなりました。
劣った案では、制約は工程と工程の間の隙間にありました。こうした比較の進め方については、レイアウト案を勘に頼らず比較する方法をご覧ください。
稼働開始後:モデルを設備データと照らし合わせる
モデルはボトルネックがどこに現れるはずかを示し、設備データは実際にどこに現れたかを示します。ラインが動き始めたら、両者を比べてください。待ち行列はモデルが示した場所にできているか。停止時間とサイクルタイムの幅は入力値に近いか。
食い違いがあれば、ラインの実際の動きに合わせてベースモデルを更新し、次の意思決定が現実の工場から出発できるようにします。DBR77 IIoTの設備リアルタイムデータは、こうした学びの次の段階です。時折の確認ではなく、実データに基づく比較が毎日行われるようになるからです。どの指標から始めるべきかはIoT導入の最初の90日間で測定すべきことで解説しています。
ボトルネックは需要が変わったときにも移動します。現在の製品構成でバランスがとれているラインが、来年の構成では詰まることもあります。これを事前に検証する方法は次の需要変動の前に生産能力を検証する方法で解説しています。
よくある質問
ボトルネックが設備以外であることはありますか。
はい。作業者、フォークリフト、自律搬送車、バッファ、倉庫のピッキングルートはよくあるボトルネックです。シミュレーションは人や車両を含むすべてのリソースの稼働率と待ちを追跡するため、それらを示すことができます。
ボトルネックを解消すると、なぜ別の場所に移るのですか。
次に遅い工程やリソースが制約になるからです。速くなった工程が次のバッファをあふれさせたり、共用のフォークリフトに過負荷をかけたりすることがあります。対策のたびにモデルを動かし直し、制約がどこへ移るかを確認してください。
モデルでボトルネックを見つけるには、設備のリアルタイムデータが必要ですか。
いいえ。最初のモデルは、工程手順、計測したサイクルタイム、停止の履歴、受注構成で動かせます。リアルタイムデータは、モデルを定常的に使うようになってからの次の段階です。モデルとラインの差を毎日示し、ベースモデルの更新が必要な時期をモデルの責任者に知らせてくれます。
ボトルネック分析にはどのくらい時間がかかりますか。
範囲によります。DBR77が公開している事例では、自動化案の分析に数日、複数案のラインレイアウト分析に約1週間かかりました。
まとめ
まず、すでに稼働しているラインでモデルの確認を行ってください。シフトリーダーに今どこで待ち行列ができているかを尋ね、平均値の代わりに幅を入れたモデルが同じ場所を示すかを確認します。一致すれば、計画中の変更についてもそのモデルを信頼できます。
実際のプロジェクトでのボトルネック
上の2つの事例では、制約はどのサイクルタイム表にも記録されていない待ち時間でした。活用事例では、ライン設計、自動化、倉庫のピッキングでDBR77 Digital Twinがそれをどう見つけたかをご覧いただけます。
出典
- DBR77, 事例:自動化コンセプトの策定(本サイトの事例ページ)
- DBR77, 事例:生産ラインの設計(本サイトの事例ページ)
- DBR77 Digital Twin, 決定論的シミュレーションと確率的シミュレーションの比較
- DBR77 IIoT, IoT導入の最初の90日間で測定すべきこと
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デモをご予約ください。DBR77 Digital Twinが生産量、待ち時間、搬送負荷で選択肢を比較する様子をお見せします。