レイアウト案を勘に頼らず比較する方法
レイアウト案を勘に頼らず比較するには、すべての案を同じシミュレーションモデルで、同じ受注構成、同じシフトルール、同じばらつきのもとで動かし、すべてを同じ指標で評価します。指標は、1日あたりの生産量、マテリアルフロー時間、待ち時間、搬送負荷、バッファ在庫です。図面の上で最も良く見える案が、最もうまく動く案であるとは限りません。搬送ルートが最短のレイアウトが、適切な位置にバッファを置いたレイアウトに負けることもあります。
レイアウトが見た目で選ばれてしまう理由
レイアウトの会議は、たいてい図面をもとに進みます。ある案は見た目がすっきりしています。別の案はルートが短い。3つ目の案は将来のための空きスペースが多い。それぞれに支持者がいて、声の大きい意見が勝つことがよくあります。
図面が示すのは物の配置です。性能は時間の経過の中で起きることに左右されます。部品が工程間でどれだけ待つか、2台のフォークリフトが同じ通路で鉢合わせするか、バッファがシフトの途中で満杯になるか、段取り替えの影響がラインにどう波及するか。こうした影響は、フローを動かしたときにしか現れません。
スプレッドシートでもこの隙間は埋まりません。距離と平均時間を足し合わせるため、最短ルートが有利になります。待ち行列はばらつきと相互作用から生じますが、平均値の表にはそのどちらもありません。
ステップ1:現状のレイアウトを含めて案を定義する
本格的に検討する案を2〜4つ用意して始めます。それ以上に増やしても、得られる知見はあまり増えず、作業が遅くなるだけです。現状のレイアウトは必ず基準として含めてください。そうすれば、どの結果も「現状より良いか悪いか」として読めます。
各案を正確に記述します。設備の位置、バッファの場所と大きさ、通路、フォークリフトや搬送車のルート、倉庫と中間保管エリアです。その大半はCADから得られます。DBR77 Digital Twinでは、CADのレイアウトがモデルの土台となり、その上にフローが加えられます。まだ曖昧なままの案は、比較する準備ができていません。
ステップ2:すべての案に同じ条件を設定する
比較が公平になるのは、すべての案が同じ条件にさらされるときだけです。
- 同じ受注構成(平均的な週と並べてピークの週も含める)
- 同じシフト体制と人員配置ルール(人員配置そのものを比較対象にする場合は除く)
- 同じサイクルタイムの幅、停止、段取り替え(過去の実績から取り込む)
- 同じ搬送ルール:速度、フォークリフトや搬送車の台数、優先順位
確率的モデルは各案に同じばらつきを適用するため、たまたま楽な週に当たったことでレイアウトが良く見えることはありません。これらの条件は最初の試行の前に書き出しておきます。誰かが一つの案についてだけ条件を変えると、比較は意味を失います。
ステップ3:同じ指標で比較する
結果を見る前に指標について合意してください。そうしないと、それぞれの支持者が自分のレイアウトに有利な数字を選びます。表は典型的な指標の組み合わせです。以下の数値は説明のための例です。
| 指標 | 現状 | 案A | 案B |
|---|---|---|---|
| 1日あたりの生産量(個) | 1,000 | 1,060 | 1,040 |
| 平均マテリアルフロー時間(分) | 140 | 125 | 110 |
| 工程間の待ち時間(分) | 45 | 25 | 40 |
| フォークリフトの稼働率(%) | 85 | 70 | 75 |
| バッファ在庫(パレット) | 60 | 70 | 45 |
この説明のための例では、案Bはフロー時間が最も短く、バッファも最も小さいため、図面の上では勝ちます。生産量が多いのは案Aです。部品の工程間での待ちが少なく、ピーク時にもフォークリフトに余力があるからです。どちらが優れているかは工場が何を最も必要としているかによりますが、選ぶ人たちは今や数字をもとに議論できます。
実際の工場でのレイアウトの意思決定
ある工場は中央にバッファを追加して生産量を伸ばし、別の工場はバッファを一つなくして運転資本を浮かせました。活用事例では、DBR77 Digital Twinがそれぞれの答えにどうたどり着いたかをご覧いただけます。
事例:最短ルートが勝たなかったケース
ポーランド南部の自動車用ランプメーカー(従業員270人、2シフト)は、スループットが最も高く、労働力を最も有効に使える新しいラインのレイアウトを必要としていました。DBR77は、標準的な搬送速度と運搬車の加速・制動を含むマテリアルフローのデジタルツインを構築し、3つのレイアウト案をマテリアルフロー時間と生産性で比較しました。
最も優れたレイアウトは、生産と組立の間の中央エリアにバッファ倉庫を置く案でした。その平均マテリアルフロー時間は最短ではありませんでしたが、1日あたりの生産性は中間倉庫のない直線型レイアウトより平均で6%高くなりました。ほかのレイアウトでは、半製品が工程間で引き取りを待っていました。複数案の分析にかかったのは約1週間でした。
図面で判断していたら最短ルートが選ばれ、それとともに引き取り待ちも選ばれていたでしょう。
事例:AIにレイアウト案を提案させたケース
創業20年以上の高品質な木製家具を製造する中規模メーカーは、自社の生産・倉庫レイアウトが変化の激しい生産環境に合わなくなっていることに気づきました。製品の多様さがモノと情報の流れを遅くし、資材と完成品のバッファが不足していることで柔軟性が下がり、遅延が生じていました。
DBR77は現状の生産・倉庫レイアウトのデジタルツインを構築し、マテリアルフローをシミュレーションしました。AIが主な問題エリアを特定してレイアウト案を生成し、専門家が最良の案を選び、選ばれたレイアウトを再びシミュレーションしました。結果は次のとおりです。バッファの廃止により運転資本を30万PLN(ポーランド・ズウォティ)削減し、部門コストを14%削減し、直接労務の必要人員をフルタイム換算で1.5人分削減しました。生産エリアのマッピングには数日かかりました。その後のAIによる最適化は、数日ではなく数秒で終わりました。
2つの事例は、バッファについて逆の方向を示しています。一方の工場では、中央にバッファを置いたレイアウトのほうが生産量が多くなりました。もう一方では、バッファをなくしたことで運転資本が浮きました。バッファが役立つかどうかは自社のフローがどう振る舞うかで決まるため、工場ごとに独自の試行が必要です。
図面で十分なとき、そうでないとき
モデルを省略できるレイアウト変更もあります。変更が小さく、週末のうちに元に戻せ、共用のフォークリフト、バッファ、現在のボトルネックに関わらないなら、現場で試してください。
変更がボトルネックを移動させる、搬送ルートやバッファの大きさを変える、または元に戻すのに費用がかかる場合は、シミュレーションしてください。さらに踏み込んだ内容は、次の3つの関連ガイドで扱っています。
- 搬送とバッファが結果を左右する場合は、構内物流とマテリアルフローをシミュレーションする方法をご覧ください。
- 生産を続けながら新しいレイアウトを構築しなければならない場合は、生産を止めずにブラウンフィールド工場の変更を計画する方法をご覧ください。
- 各案で制約がどこにあるかを確認するには、生産のボトルネックを発生前に見つける方法をご覧ください。
よくある質問
レイアウト案はいくつ比較すべきですか。
2〜4案に、基準となる現状のレイアウトを加えます。案が多いと作業が遅くなります。アイデアがたくさんある場合は、AIが生成した案などで最初に手早くふるい分けを行い、最良の案だけを詳細にシミュレーションしてください。
レイアウトを比較するとき、最も重要な指標は何ですか。
通常は1日あたりの生産量です。ほかのすべての要素が反映されるからです。ただし、ルートが最短の案が最も生産性が高いとは限らないため、待ち時間、搬送負荷、バッファ在庫と合わせて確認してください。
CADだけでレイアウトを比較できますか。
CADはレイアウトが収まるか、安全かを示します。時間の経過に伴う待ち行列、待ち、フォークリフトの負荷は示しません。形状にはCADを、フローにはシミュレーションを使ってください。
レイアウトの比較にはどのくらい時間がかかりますか。
範囲によります。DBR77が公開している事例では、3案のラインレイアウト分析に約1週間、家具工場の生産エリアのマッピングに数日かかりました。
まとめ
次のレイアウト会議の前に、共通の条件と指標を書き出し、結果がまだ出ていない段階で、各案を支持するすべての人に承認してもらってください。後になってある案が良く見えるために独自の条件を必要とするなら、それはその案についての警告と受け止めてください。
自社のレイアウト案を比較する
すでに2つか3つのレイアウト図面が出回っているなら、デモでは、そうした案をすべて同じ受注構成で現状のレイアウトと比較する方法と、それぞれの案がどこで時間を失うかをお見せします。
出典
- DBR77, 事例:生産ラインの設計(本サイトの事例ページ)
- DBR77, 事例:レイアウトの最適化(本サイトの事例ページ)
- DBR77 Digital Twin, 決定論的シミュレーションと確率的シミュレーションの比較
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