構内物流とマテリアルフローをシミュレーションする方法
構内物流をシミュレーションするには、資材が工場内を時間とともにどう動くかのモデルを構築します。ルート、フォークリフトと自律搬送車(AMR)とその速度、バッファとその容量、誰がいつ搬送を呼ぶかのルール、そして需要を生み出す受注構成です。モデルは1シフトまたは1週間を動かし、部品がどこで引き取りを待つか、各車両がどれだけ忙しいか、各バッファがどこまで埋まるかを示します。ラインに資材が時間どおりに届くかどうかを決めるのはこうした数字であり、レイアウト図ではそれを示せません。
マテリアルフローの問題が平均値に隠れる理由
多くの工場は、構内搬送の規模をスプレッドシートで決めています。説明のための例では、フォークリフト1台で1時間に20パレットを運べ、ラインが必要とするのは1時間に15パレットなので、フォークリフトは1台で十分で、余裕もあるように見えます。この説明のための例では、フォークリフトは平均して4分の1の時間が空いています。
現場では、搬送の依頼は均等には届きません。フォークリフトが建屋の反対側にいる間に、3つの工程が数分おきに次々とロットを終えます。2台の車両が狭い通路で鉢合わせします。運転者の休憩が最も忙しい時間帯に重なります。そのためフォークリフトは、平均すれば空き時間があるのに、まさに必要なときには塞がっています。
平均値は待ち行列を隠し、構内物流が生産量を失うのはまさにその待ち行列です。シミュレーションは、すべての依頼、すべての搬送、すべての待ちを順番に動かすため、レイアウトを作る前や車両を発注する前に待ち行列が見えてきます。確率的シミュレーションでは、搬送時間とサイクル時間も、現場と同じように搬送ごとにばらつきます。
構内物流のモデルに入れるもの
役に立つマテリアルフローのモデルは、細部の大半を省き、待ちを生み出す要素を残します。
- ルート:通路、一方通行の区間、交差点、出荷口、そして工程、ラック、バッファエリアの間の距離。通常は、モデルのベースとなるCADのレイアウトから読み取ります。
- 車両:フォークリフト、牽引車、自律搬送車。台数、速度、積載能力、必要に応じて加速と制動も含めます。
- バッファと保管:各ラック、バッファエリア、中間倉庫の容量と、満杯になったときに何が起きるか。
- ルール:誰が搬送を呼ぶか、優先順位、ロットサイズ、ミルクランの頻度、資材をピッキングする順序。
- 需要:標準的な1日または1週間の製造指図と製品構成、そしてピーク。
- 人:運転者とピッキング作業者、そのシフトと休憩。
このデータの大半は、すでにCAD、ERP、工程表にあります。足りない搬送時間はストップウォッチで計測できます。
スプレッドシートでは分からず、シミュレーションで分かること
マテリアルフローのシミュレーションは、案をまたいで比較できる数字を示します。引き取りの待ち時間、車両の稼働率、1時間ごとのバッファの充填水準、そして工程が資材を待つ時間(分)です。
| 問い | スプレッドシートの答え | シミュレーションの答え |
|---|---|---|
| フォークリフトは何台必要か | 総搬送時間をシフトあたりの時間で割る | ピークと未処理の依頼の待ち行列を含めた、シフト全体での各車両の稼働率 |
| バッファの大きさは十分か | 平均在庫水準 | 1時間ごとの充填水準と、満杯や空になる頻度 |
| 部品はどこで待つか | 見えない | 各工程と各バッファでの待ち時間 |
| 最短ルートが最良のレイアウトか | たいてい「はい」とみなされる | 距離だけでなく、1日あたりの生産量で案を比較する |
| 車両が1台故障したらどうなるか | 見えない | 車両が1台少ない場合の生産量と待ち時間 |
最後の行は、見た目以上に重要です。すべての車両が動いているときにしか機能しないフローは、もろいものです。その検証方法は、スループットだけでなくレジリエンスを比較する方法で解説しています。
実例:新しいラインでバッファをどこに置くか
ポーランド南部の自動車用ランプメーカーは、従業員270人、2シフトで、12,000m²の倉庫を含む28,000m²の工場を運営しており、新しい生産ラインのレイアウトを必要としていました。工場長が求めていたのは、最も高いスループットと、労働力の最も有効な活用でした。難しかったのは、作業場と中間倉庫の間で資材が移動に費やす時間です。
DBR77はマテリアルフローのデジタルツインを構築しました。プロジェクトのタイミングから得た作業時間、標準的な搬送速度、運搬車の加速と制動、アニメーションの経路を使いました。3つのレイアウト案を、マテリアルフロー時間と生産性で比較しました。結果は次のとおりです。
- 最も優れたレイアウトは、生産と組立の間の中央エリアにバッファ倉庫を置く案でした。
- その案の平均マテリアルフロー時間は、3案の中で最短ではありませんでした。
- その案の1日あたりの生産性は、中間倉庫のない直線型レイアウトより平均で6%高くなりました。
- ほかのレイアウトでは、半製品が工程間で引き取りを待つ間に時間を失っていました。
つまり、ほかのレイアウトの短いルートは、その終点で部品が車両を待つ時間に食いつぶされていました。複数案の分析は約1週間で納品されました。こうした比較を準備する方法は、レイアウト案を勘に頼らず比較する方法をご覧ください。
マテリアルフローが実際にどうモデル化されるかを見る
活用事例のページでは、新しいラインでのバッファの配置から倉庫のピッキングルートまで、この記事の2つの事例のようなプロジェクトを紹介しています。
実例:倉庫のピッキングルート
ポーランド中部マゾフシェ地方の空調設備(HVAC)メーカーは、従業員150人超、2シフトで、高度にカスタマイズされた製品を製造しています。倉庫のピッキングエリアでは10人で1シフトあたり平均800件のピッキングを処理しており、ピッキングの計画が困難でした。
DBR77はその倉庫セクションのデジタルツインを構築しました。搬送ルート、境界条件、運用パラメータ、搬送機器です。工程データは構造化された形式で取り込みました。そのうえで、アルゴリズムが計画上の日々の製品構成に合わせて最適化したピッキングリストを生成します。シミュレーションで比較した3つのシナリオは次のとおりです。
- 最適化なし、製造指図の順序どおりにピッキング:約1,000秒。
- アイランド・アルゴリズム:約550秒。
- ソーティング・アルゴリズム:約200秒。
シミュレーションは、現在の製造指図をもとに数日で準備できました。更新に必要なのは改訂された指図を取り込むことだけで、アルゴリズムが数秒で新しい解を見つけます。これは資材や作業者が不足しているときに役立ちます。
シミュレーションする価値のある構内物流の意思決定
ラックを1台、数メートル動かすだけなら、現場で試せます。変更が元に戻しにくい場合や、複数の要素が相互に影響し合う場合にシミュレーションしてください。
- 工程間のバッファの位置と大きさ:特に生産と組立が異なるリズムで動いている場合。
- 車両の台数と種類:フォークリフトが何台必要か、固定ルートを自律搬送車に任せられるか。
- 倉庫でのピッキング順序とルート:製品構成が毎日変わる場合。
- ミルクランの頻度と、1周あたりの停車箇所の数。
- 改修工事中の搬送:通路が何週間も閉鎖され、ルートが長くなる場合。これについては生産を止めずにブラウンフィールド工場の変更を計画する方法で解説しています。
始めるのに適しているのは、資材を待つラインのように、すでに現場から不満が出ているエリアです。
よくある質問
マテリアルフローをシミュレーションするにはどんなデータが必要ですか。
ルートと距離を含むレイアウト、車両の台数と速度、バッファの容量、そして標準的な期間の製造指図です。足りない搬送時間は現場で計測できます。設備のリアルタイムデータ(たとえばDBR77 IIoT)は後から接続できますが、始めるのには必要ありません。
シミュレーションでフォークリフトと自律搬送車を比較できますか。
はい。車両の種類ごとに、それぞれの速度、容量、ルールでモデル化し、そのうえで生産量と稼働率の同じ数値で各案を比較します。
倉庫と生産現場は一つのモデルにすべきですか。
両者の間で共用の車両や共用のバッファを通じて資材が動くなら、そうすべきです。倉庫が完成品を出荷するだけなら、別々のモデルで十分なことがよくあります。
搬送のモデルはどの程度詳細にすべきですか。
待ちが見える程度に詳細にします。自動車用ランプの事例では、モデルに運搬車の加速と制動まで含めました。倉庫では、ルートとピッキングのルールのほうが重要なことが一般的です。
まとめ
まず、ラインが資材を待っているとすでに現場で言われているエリアから始めてください。シフトリーダーに、数シフトにわたって、搬送が来なかったために工程が止まった回数を毎回記録してもらいます。そうした停止が特定の時間帯に集中しているなら、車両を購入したりラックを動かしたりする前に、そのエリアをモデル化してください。
次の構内物流の変更を、まず検証する
フォークリフトの台数やバッファの大きさが未解決の問いなら、デモでは、ルート、車両、バッファをモデルにどう入れ、レイアウト案を生産量でどう比較するかをお見せします。
出典
- DBR77, 事例:生産ラインの設計(本サイトの事例ページ)
- DBR77, 事例:倉庫からの資材の取り出し(本サイトの事例ページ)
- DBR77 Digital Twin, 決定論的シミュレーションと確率的シミュレーションの比較
- DBR77 Digital Twin, 2D CADと3Dデジタルツインの比較
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